立体表現にみるヒューマン・リアリズム展
1970年代から1990年代まで今日を代表する彫刻家による「人間」をモティーフとした作品を通して、現代美術における人間像の普遍性、多様性、今日性を探求します。
人体彫刻は美術史の始まりとともにあったと言えるほど古い歴史を持ち、神々や古典的理想美を表現し、皇帝や英雄を讃え、また死者を記念するために多く創造されてきました。しかし19世紀半ばになると古典的な人体美の支配力は失われ、アヴァンギャルドたちは自らの美学を「複製」にではなくオブジェそれ自体の自律性に求めるようになります。20世紀初頭より展開された抽象表現もその一つであり、「人体」はテーマであり続けてもそれ自体は出発点にすぎず、抽象的なフォルムの創造が重要となりました。
しかし20世紀後半ポップ・アーティストの世代に属す作家にとっては、このような造形性すらも目指すべき方向ではなくなり、心的、精神的な人間のリアリティに重きが置かれ、造形性を超えたところの表現が問題となっています。
本展は1970年代から1990年代までの、今日を代表する29人の彫刻家による「人間」をモティーフとした作品52点を一堂に集め構成されます。彼らの作品は過去の人体彫刻における規範から解放されて多様な展開を遂げています。金属から木、合成樹脂、布、石膏などあらゆる素材が活用され、本物と見間違うほどのハイパーリアルな人体から、漫画風のもの、人形やロボット型のものまで、様々な作品が登場しています。近年の人体彫刻によって構成された本展は、現代美術における人間像の普遍性、多様性、今日性を探求する試みとなります。
出品作品 :
- 彫刻52点
会期 :
- 1992年7月〜12月
会場 :
- 伊勢丹美術館 [東京]
- 大丸ミュージアム・梅田 [大阪]
- 広島市現代美術館
<画像>
図録表紙より
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