ラファエル前派からウィリアム・モリスへ
純粋美術と装飾美術の一体化をテーマとしたラファエル前派から、芸術と生活の融合を目指したウィリアム・モリスへの潮流を、同盟やアーツ・アンド・クラフツ運動に関わった作家やデザイナーの作品から展観します。
産業革命によって急激な近代化をとげた19世紀半ばのイギリスは、物質的な充足の一方、精神的な豊さが失われていることに、人々は不安を抱き始めていました。ラファエル前派は、日常の労働の中に創造の喜びを見出していた「中世」を理想とするラスキンの思想に支えられ、芸術の改革を目指して結成されました。ハント、ロセッティ、ミレイ等によって当初結成されたラファエル前派は、自然に忠実な描写や神秘的な題材など解釈が単一ではなく、しかしその多様性ゆえに彼らの周辺にはバーン=ジョーンズをはじめとする多才な人物が集いました。「近代デザインの父」と呼ばれるウィリアム・モリスもその一人でした。モリスの中世への志向は、純粋美術と装飾美術の一体化というラファエル前派のテーマと結びつくことで、芸術と生活の融合という理念へと展開し、後のアーツ・アンド・クラフツ運動へとつながっていきます。
本展は、ラファエル前派からウィリアム・モリスへのこのような分ち難い潮流を、同盟や運動に関わった作家やデザイナーの作品から展観しようとする初の試みです。
出品作品 :
- 118 点 (油彩、素描、ステンドグラスほか)
会期・会場 :
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2010年度
- いわき市立美術館 [福島] ... 2010年9月11日 (土) 〜 10月24日(日)
- 横須賀美術館 [神奈川] ... 2010年10月30日(土) 〜 12月26日(日)
- 美術館「えき」KYOTO [京都] ... 2011年2月25日(金) 〜 3月27日(日)
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2011年度
- 目黒区美術館 [東京] ... 2011年6月4日 (土) 〜 7月14日 (木)
- 鹿児島市立美術館 ... 2011年7月22日 (金) 〜 9月4日 (日)
<画像>
《タペストリー:東方三博士の礼拝》
デザイン:エドワード・コリー・バーン=ジョーンズ(1833-1898)
花・地面のデザイン:ジョン・ヘンリー・ダール(1860-1932)
モリス商会
デザイン1887年、制作1900-02年
ウール、絹
251.2 x 372.5 cm
南オーストラリア州立美術館
Morgan Thomas Bequest Fund 1917,
Art Gallery of South Australia, Adelaide
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