ジェームズ・ティソ

1987-1988年度

近年再評価が急速に高まりつつある19世紀フランスの画家ジェームズ・ティソの全容を紹介する日本で初めての展覧会です。

James TIssot - Braintrust Inc.

1836年フランス西部のナントに生まれたジェームズ・ティソ(ジャック・ジョセフ・ティソ)は、パリに出て美術学校に学ぶとその才能は早くから評価され、サロン出品作が国家買い上げとなる輝かしいデビューを果たしました。1860年代のパリで将来性のきわめて高い新進画家として活躍し、とくに近代生活を主題とした作品が好評を博します。画中人物の心理状態や主題を場面設定と巧みに結びつけ、洗練された筆さばきで描いたその作品の魅力は現代でも色あせることがありません。ティソは普仏戦争の勃発に伴いロンドンへの亡命を余儀なくされ11年間この地で生活しますが、英国とフランス双方のスタイルを取り入れた優品でイギリスでも成功を収め、社交界の花形として活躍しました。

ティソは後世の美術史からすればモダニズムの中で排除され、忘れ去られた存在ですが、いまふたたび評価が高まっています。また、19世紀後半にヨーロッパで流行した日本美術工芸品の初期の収集家としても知られ、マネ、ドガ、ホイッスラーとの親交を通じて養われたジャポネズリーの作品を描いた点でも注目されます。これまでティソの作品を多く見る機会のなかった日本において、本展はティソの理解を深めるととともに、その研究に役立つことを望んで組織されました。

出品作品 :
  • 51点(油彩、パステル、水彩、素描)、 48点(版画)、その他関連画家の油彩 4点
会期 :
  • 1988年2月〜9月
会場 :
  • 伊勢丹美術館 [東京]
  • 大丸ミュージアム・梅田 [大阪]
  • 三重県立美術館
  • 栃木県立美術館
  • 横浜高島屋

<画像>
図録表紙より

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